無能の兵器化(武器化)はなぜ起こる?夫婦関係に与える影響とその対処法


「無能の兵器化(武器化)」という現象をご存知でしょうか?

無能の兵器化とは、あるパートナーが意図的に自分の能力や知識を過小評価することで、
家事や育児、その他の責任を免れようとする行動を指します。

<例>

夫が洗濯機の使い方を知らないふりをする。
もしくは、わざと洗濯物を間違えて洗う。
(「丸まった洗濯物を広げてしわを伸ばして干す」、
「手洗い表記のあるものは手で(またはネットに入れて)洗う」などの洗濯手順を守らない)

そうすることで、以後の洗濯を妻がせざるを得ないと思わせる。

妻がこれに対して非難すると、
「(これしかできないんだから)嫌なら俺に頼むなよ」と反論する。

そうすることで、以後の洗濯を妻がせざるを得ないと思わせる。


上記の「洗濯」は「大きい方のおむつ替え」や「子どもの寝かしつけ」「実家への連絡」など、様々な事柄に置き換えできます。


無能の兵器化は、家事や育児など家庭内のタスクを避けるための戦略として用いられることがあり、
結果的にもう一方のパートナーに過度な負担をかけることになります。

私はこの現象については、「関係性を悪化させる4つの毒素」「防御」の亜種として認識していたのですが、こんなにも上手いネーミングがついていることを最近知りました。

「関係性を悪化させる4つの毒素」についてはこちらをご参照ください。


無能の兵器化はなぜ起こる?


「洗濯しようと思ってやってみたが失敗してしまった」
というような、(言葉は悪いですが)「無能」が、単独で出現しただけならそれほど問題にはなりません。

だれにでも知識不足や経験不足があり、
失敗から学んで次へ生かせばよいからです。


問題は「兵器化」です。

自分の無能を兵器として、自分を守るために相手を攻撃する武器として使ってしまうと、夫婦関係は痛みます。



そもそも、なぜ自分を守らなくてはならないのでしょうか。

それは、兵器化した側が、批判や責任の追及を受けたと感じているためです。

なので、「問題は自分にはない、こんな無能な自分にさせたあなたにある」と、責任の所在を再追及するのです。

そして、目的は「自分を守るだけ」のつもりであっても、
結果的に、夫婦間の精神的・肉体的負担の不平等を生み、
信頼関係は崩れ、より深い断絶を生むことにつながります。

無能の兵器化を減らしていくには


■自分が無能の兵器化をしてしまう場合

自分が無能の兵器化や防御を使ってしまう場合、
解毒剤は、「責任の一端を負うこと」です。

「ごめん、失敗した。
どうやら自分の手順が不完全みたい。
どうやればいいのか教えて」

自分が問題に加担していたことを認めることで、パートナーと一緒に問題に取り組むことができます。

■パートナーが無能の兵器化を起こす場合

パートナーに無能の兵器化や防御的態度が見られた場合は、まず自分が4つの毒素の「非難」や「侮辱」を出していなかったか確認をし、以後は毒素の含まれない、穏やかなリクエストをするようにします。

また、パートナーに対しては、率直にその失敗の行動について話し合います。

相手を責めるのではなく、
具体的に現実を一つひとつ確認していきます。
(そもそもお互いが期待しているゴールは一致していたのか、ゴールが一致していても期待と現実にギャップがあるなら、それはどのように生じたのかなど)

事前知識が足りなかったり、スキルが不足しているのであれば、それらをどのように補うのかを話し合います。


兵器化/防御する側がかたくなに自分の責任逃れに終始する場合は、
自分の責任を認めることに大きな不安を感じている可能性があります。
(それを本人が自覚しているとは限りません。)

すでに二人の関係性を安全に感じていないケースや
アイデンティティの問題を抱えているなど、要因は様々です。

いずれにせよ、無能の兵器化が非難等の反応として起きやすいということを知っていれば、
穏やかにリクエストしたり、相手に何が起きているのかを理解するなど、
こちら側でもできることはまだまだあります。

最後に


残念なことに、自分の粗は見えにくく、パートナーの粗は見えやすいです。

「あ、これ、メルマガやブログに書いてあった『無能の兵器化』だ!やっぱりこの人はダメな人なんだ!」

と相手にレッテルを貼ると「悪いのは相手である」と自分の責任が軽く感じられます。


そして、この行為は夫婦関係にヒビを入れます。

夫婦円満のカギは、「この問題を自分も引き起こしているとしたら、何を変えたらいいんだろう」という視点です。

どうか、自分たちの関係を客観的に見てください。


この記事は、無料メールマガジン『誰も教えてくれなかった「夫婦関係を良くする秘訣」』2024年7月2日号を転載(一部更新)したものです。

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