妻の話を聞くのが苦手な夫さんへ

夫婦仲がうまくいっていないときに、
アドバイスとして一番よく聞くものが
「相手の話にしっかり耳を傾けましょう」
だと思います。

実際、「夫が話を聞いてくれない」という妻側の不満は後を絶ちません。

ですが、「パートナーの話を丁寧に聞き取る」という行為は、
そんなに簡単ものではありません。
特に、関係がギスギスしている段階では。


私は、相談に来られた夫さんに
「ちゃんと妻さんの話を聞いていますか?
適当にあいづちを打つ聞き方じゃだめですよ。
傾聴してください。」とは言いません。

理由は以下の3つです。

1 自分に対する不満を冷静に聞き続けることは難しい

パートナーの不満や愚痴に思慮深く耳を傾ける。
共感し、気持ちや考えを受け入れる。
自分の意見を脇において、冷静に深く、相手のために積極的に話を聞く。

これが傾聴の姿勢です。

妻の話す内容が、仕事やママ友、街で見かけた他人についてであれば
なんとか「注意深く冷静に聞こう」とチャレンジできると思います。
(傾聴の経験がない方は少々の訓練は必要かもしれませんが。)

しかし、話の内容が「あなたへの非難」である場合はどうでしょう。

私のような第3者が夫婦関係の悩みを傾聴するのと、
当事者であるあなたが「自分たちの関係について」傾聴するのとでは、
難易度がまるで違います。

訓練を受けたプロの私でさえ、仮に夫が私への非難を話し始めたら「傾聴」するのは無理です。
冷静に「そうなんだね、そうかそうか」と傾聴し続ける自信はありません。

2 聞いてもらった側もスッキリせず聞いた側もモヤモヤが残る

人は自分のことをわかっているようでよくわかっていません。
自分の本当の気持ちや願いをいつもはっきり自覚している人は稀です。

ほとんどの場合、本心が少し曲がった形で話されます。

例えば、

私はあなたと一緒に生きていきたいの。
家族という実感を感じながら共に子育てしていきたいの。
そして、自分のことも大事にしながら生きていきたいの。

でも、今、目の前にやらなくちゃいけないことだらけで、
時間も思うように使えないし、
子供に翻弄されて、自分をすり減らしている気がするから
精神的にも実務的にも支えて欲しいの。

ということを伝えたいのに

どうしていつも遅いの?
『ごめん、今日残業』ってメッセージだけで逃げてるじゃん。
こっちはさ、トイレも行けないような状況で詰め詰めで仕事してさ、
帰る時も周りに「お先にスミマセン」ってぺこぺこ頭下げてさ。
会社を出たら出たで保育園から帰ってくるのも買い物も夕飯の支度も食べさせるのも洗濯も風呂に入れるのも
戦争なのはわかってるでしょ?
もう、ほんとに何度言ったらわかるの!
私だけの子どもじゃないでしょ?

なんて言葉が出てきてしまうことがよくあります。

このような言葉を聞いて、
「よしわかった。明日から残業しないで帰ってくる!」
とハツラツと宣言し、ポジティブに実行する人はあまりいないでしょう。

むしろ、

(まいったな。
こっちだって大変なのに、自分ばかりが大変な目にあってる口ぶりだな。
いずれにせよ今度からもう少し低姿勢でメッセージ送らないと。)


という心の声と共に、
なんとなくモヤモヤが残るのではないでしょうか。

そして、その受け取り方は、微妙な空気感を作り出し、
妻側にも伝わります。

「この人、本当にわかってるのかしら?」
と、言った妻側にもモヤモヤが残ります。

このあたりの話は、
「いきなり話し合い」をおススメしない理由(上)
にも書いてありますので、気になる方は一度読んでみてください。

3 「傾聴は夫婦関係を成功させるものではない」という研究結果が出ている

夫婦関係研究の第一人者ジョン・ゴットマン博士は、
650組の夫婦を14年間追跡調査した研究から、
「傾聴は結婚生活を成功させるものではない」
という結論に至りました。

傾聴をしている夫婦でも、
永く幸せに結婚生活が続くわけではなかったからです。

逆に、
「傾聴を全くしていない夫婦でも、より良い関係を維持している夫婦はたくさんいる」
ということもわかりました。
(彼らはいつも相手と仲が良い夫婦というわけではなく、
相手に腹立たしい感情を持つこともある夫婦です。)



以上、傾聴を積極的にはお勧めしない理由を書きましたが、
傾聴がどんな場合でも効果がないと言いたいわけではありません。

お互いが4つの毒素を使わずに穏やかに話ができるのであれば、
傾聴自体はもっと簡単になりますし、
「自分たち夫婦関係以外の話」を聴いてあげることは、
より良い夫婦関係のために有効であるという研究結果も出ています(注)

ということで、
「相手の話を聞けって言われるけど、いきなり文句言われるし、できないよー」とお嘆きの夫さん方、
上手くできないのはあなたのせいではありませんし、
できなくても夫婦円満への道はありますので、
どうか気を落とさないでくださいね。

【注記】
より良い夫婦関係を維持するための、夫婦関係以外の話の聞き方をこちらに掲載しました。


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