離婚につながる4つのコミュニケーション

ワシントン大学名誉教授のジョン・ゴットマン博士は、40年間、3000組以上の夫婦・カップルを調査研究し、離婚を予測させる夫婦にはいくつかのサインがあることを見つけ出しました。

その中の1つが「非難」「侮辱」「防御」「逃避・無視」です。


博士の研究結果(ボブ・レベンソンとの共同研究)によれば、
怒りの感情そのものが夫婦関係にネガティブな影響を与えるわけではないそうです。

しかしながら、怒りの感情がこの4つのコミュニケーションとして表れた場合は、
「夫婦関係は致命的な傷を負う」と博士は述べています。

ここではこれらを「関係性を悪化させる4つの毒素」と呼び、それぞれ解説していきます。

非難

「非難は、単なる不満とは異なり、相手に対してネガティブなベクトルが向くものです。
「あなたは○○だ」という表現により相手の性格、人格、能力に対する攻撃を含んだメッセージとなります。

<例1>

「また靴下脱ぎっぱなし!何度言えばわかるの?本当にだらしない!!」

<例2>
コーヒーを飲もうと思ったら、ポットが空であることに気づいた場面で。

「またポットが空だ!何で次の人のことを考えないの?自分だって飲むくせに何でやらないの?」

「やる気ない」「気が効かない」「何回言えばわかるの?」「のろま」「ケチ」「意地汚い」「わがまま」などなど…。
「(あなたは)いつも〇〇だ」「なんで〇〇なの?」という言葉とセットで使われることがよくあります。

ちなみに、夫婦間で非難の言葉が飛び交ったことがあるからといって
関係がすぐに破綻し、離婚につながるわけではありません。
しかし、これが毎回のこととなると、二人の状態は悪化していきます。

侮辱

「侮辱」は「非難」のもっとひどい人格攻撃。
相手を見下す感じです。

バカにする、見下す、皮肉を言う、相手の品性を疑う、自分は相手と同じような(低い)レベルではない、
相手は自分と同じ(高い)レベルではない…などが侮辱に当たります。
これらは言葉だけでなく、態度も含まれます。

<例1>
(夕飯を家で食べないと連絡せずに外食を済ませて帰ってきた夫に対し)

 「『夕飯いらない』ってなんで私に連絡しないの?
 連絡なければ私が作るってわかってるでしょ?

 あなた物事を予測するってことできないの?
 頭悪いんじゃないの?
 会社でもそんな風に仕事してるの?
 部下は気の毒だわ。」

<例2>
(共働きの妻からの「もう少し家事・育児を担当して欲しい」という要請に対して)

「『私も働いているんだから』だって?
 その程度の稼ぎで仕事してるって言わないで欲しいな。
 これ先増えるって?
 これ以上続けたって君が稼げるようになるとは思えない。」


発言する方としては非難も侮辱もそれ程気にせず発言していると思います。
が、言われる側としては、明らかに「非難」と「侮辱」は痛さが異なりますね。
(あくまでも個人の感想ですが。)

「自分のことをそんな風に思っていたんだ」
「自分は信用されていないんだ」と思ってしまいます。

そして、「非難」より「侮辱」の方が、明らかに気持ちの回復に時間がかかります。
精神的に落ち込み、かなり引きずります。

医学的には、互いに侮辱しあっている夫婦は、そうでない夫婦より病気(風邪やインフルエンザ等)になる率が高いということがわかっています。

こんな記事もあります↓

ガミガミ小言を言われると夫の死亡リスクは上がる


防御

人は「非難」されたり「侮辱」されたりすると「防御」の姿勢をとりたくなります。

例えば、前述の「夕飯いらない」の連絡を忘れてしまう夫が妻に非難や侮辱をされ、
「いつもじゃないだろ!連絡したことだってあっただろ?」と反撃する。
これが「防御」です。 

<例1>

妻「ねえ!!
  色ものと白い服を一緒に洗濯しないでってあれほど言ってるのにどうしてわからないの?!(非難)」

夫「せっかく手伝ったのにそんな言い方しなくてもいいじゃん!

  もう洗濯はそっちがやってよ」(防御)

<例2>

夫「(冷蔵庫を開けながら)ビールないじゃん!!

  なんで買っておかないんだよ!
  気が利かないなあ」(非難)

妻「いつから私ビール係になったの?

  だいたい、最後に飲んだのはどこの誰よ。」(防御)


非難されると防御したくなる・・・。
これは自然なことですが、「防御したら二人の関係が良くなった!」ということはまずありません。

防御は、相手をひるませたり、謝らせたりすることはできないのです。

むしろ、相手を責めることにつながり
「私には責任はない。問題はあなたにある」というメッセージになります。

 そして「非難/侮辱」→「防御」→ 「非難/侮辱」→「防御」と繰り返され、
争いはヒートアップしていきます。

逃避・無視

非難→侮辱→防御の応酬が続くと、人はその場から逃げ出したくなります。

物理的に逃げなかったとしても、
無視したり、無表情、無言になるのも逃避行動の一種です。

<例1>

何の連絡もせず朝帰りした夫が、妻からの非難・侮辱を浴びている間、新聞で顔を隠す。
それでも妻が否定的な会話を止めない場合は、聞こえていないかのようにテレビをつけ、見入る。

<例2>

頭にきて、言葉で伝える気も失せ、無言・無表情のまま、家事や仕事をする。
何を話しかけられても無視する。
思いっきり音を立ててドアを閉め、部屋に篭る。

 
「非難/侮辱」→「防御」…のサイクルが止まらなくなると、
どちらか一方は(場合によっては2人とも)完全に逃避し、自分の殻にこもります。

そして、この負の感情から身を守るために、相手と感情的な関係を絶つようになります。

これが家庭内別居、離婚へと続いていきます。

もしも二人の間で頻繁に4つの毒素が飛び交っているようであれば、
これらをできるだけ二人のコミュニケーションから減らしていくことが幸せな結婚生活のためには必要です。


相手が察してくれないから言わなくちゃいけない?

夫(妻)といえども、他人です。
自分が何を望んでいるかは言葉にして伝えないと通じません。

大事なのは、どう伝えたか。

「相手へのクレーム、要望」を4つの毒素を使わずに安全に伝える方法については、オンライン講座で解説しています。
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